Sony α9 IIIの「全速フラッシュ同調」
すなわち シャッタースピード制限なしでストロボ光を使った撮影が可能
という機能を実現しています。
どういう仕組みか?
α9シリーズの特徴は「積層型CMOSセンサー」を搭載していること。
グローバルシャッター方式イメージセンサー搭載
これにより、センサー全体を高速に読み出すことができ、
電子シャッターであってもセンサー全体に均一に光を当てることが可能。
つまり全速でフラッシュを同調して撮影することが可能。
これによって
すべてのシャッタースピードでストロボ同調(フル同期)できる
従来のフォーカルプレーンシャッターの制限(1/200秒や1/250秒まで)を気にしなくて良い
HSS不要で高速シャッター撮影でもストロボ光を使える
注意点
- ストロボ機側もこの機能に対応している必要があります(特にワイヤレスやTTL通信時)
- 一部の古いストロボは動作に制限がある場合もあります
✅ α9 III「全速フラッシュ同調」のメリット
項目 | 内容 |
---|---|
1. HSSが不要 | シャッタースピード1/8000秒でも通常発光が可能。HSSによる光量ロスや光質変化がない。 |
2. 光量のロスが少ない | 通常発光のため、HSSよりも明るく、ストロボの最大出力を有効に使える。 |
3. NDフィルター不要になることも | 屋外日中でも1/2000秒や1/4000秒で撮れ、背景の露出をコントロールしやすい。 |
4. 動体ブレを完全に防げる | 高速シャッターでストロボが使えるため、明るい環境下でも高速な被写体を止められる。 |
5. ライティング自由度が上がる | シャッタースピードで背景をコントロールしながら、前景にしっかりストロボを当てられる。 |
6. 多灯ライティングでも有利 | 各ストロボの出力を下げずに済み、効率的に使える(※対応機種に限る)。 |
⚠ α9 III「全速フラッシュ同調」のデメリット・注意点
項目 | 内容 |
---|---|
1. ストロボ側も対応が必要 | 古いストロボや非対応機種では正常に同調しない可能性がある。純正推奨。 |
2. 電子シャッター特有の課題は残る | フリッカーやローリングシャッター歪みの影響を受ける可能性がある。 |
3. 光質が変わることがある | センサーの全域読み出しで発光タイミングが変わり、影や色味が変化する可能性あり。 |
4. 消費電力がやや大きくなる可能性 | 高速シャッター時に大光量で発光するため、ストロボやカメラのバッテリー消費がやや増える。 |
5. 撮影環境によって露出調整がシビア | 背景と被写体の露出差が大きい場合、高速シャッターゆえに背景が暗くなりすぎることも。 |
🎯 総合評価
評価軸 | α9 III の全速同調 |
---|---|
革新性 | ★★★★★(世界初レベル) |
実用性 | ★★★★☆(対応機材で最強) |
対応ストロボ必要性 | ★★★☆☆(選定が重要) |
撮影自由度 | ★★★★★(日中ポートレートなどで無敵) |
学習コスト | ★★★☆☆(光量・露出理解が求められる) |
α9 IIIの「全速フラッシュ同調」によって、これまでの撮影の常識や制約が大きく変わり、ブロックストロボ(大光量ストロボ)に頼らずとも、コンパクトなライティングで効率よく作品が作れる時代が始まったと言えます。
🔥 画期的なポイント(撮影スタイルが変わる)
1. 自然光を完全にコントロールできる
- 今までは「同調速度の限界(1/250秒程度)」のせいで、日中の自然光をシャットアウトできず、NDフィルターが必須でした。
- α9 IIIでは1/4000秒〜1/8000秒でも通常ストロボが同調するため、自然光をほぼ遮断可能。
- → つまり ストロボだけの世界を日中でも作れる。
- これまでスタジオでしかできなかった表現が、外ロケで簡単にできる。
2. ブロックストロボ(大出力)が不要になるシーンが増える
- HSSでは発光時間が長くなり、どうしても光量ロス(2〜3段分)が大きいため、ブロックストロボ(Godox AD600など)が必須でした。
- しかし、α9 IIIでは通常発光で済むため、出力ロスがなく、小型ストロボでも十分な光量が得られます。
- 例:Godox V1やTT685レベルのコンパクトストロボで1/4000秒撮影でも使える。
3. 機材の小型化・機動力アップ
- 従来:大型スタンド+大光量ストロボ+NDフィルター+発電機やバッテリーパック
- これから:小型ストロボ1灯+軽いスタンドで、明るい屋外撮影も可能
- → 機動性の高いポートレート、ロケ、ドキュメンタリー撮影がやりやすくなる
4. 被写体の動きに対応できる
- 1/8000秒で止められるなら、ストロボだけに動体ブレを頼らなくてよくなる。
- 特に屋外での「跳ねる」「走る」「舞う」ような被写体を自然光に影響されずに止めて撮れるのは革命的。
✅ 結論:α9 IIIで何が変わるのか?
従来(制約あり) | α9 III(革新) |
---|---|
NDフィルターが必要 | 不要。シャッタースピードだけで制御可能 |
HSS使用で光量ロス(約2段) | 通常発光でOK → 光量そのまま |
大型ストロボ必須 | 小型ストロボで十分なシーンが激増 |
日中に自然光を完全遮断するのは困難 | シャッターだけで自然光を遮断可能 |
ロケ撮影は重装備が必要 | 小型機材で自由度の高いロケ撮影が可能 |
動体ブレにはストロボ+暗環境が必要 | 高速シャッターで日中でも動体ブレなしに被写体を止められる |
📸 おすすめの活用シーン
- ロケーションポートレート(逆光や日差しの強い場所)
- 日中シンクロでのファッション撮影
- ウェディングや前撮り
- スポーツやダンスなどの動きのあるシーン
- スモークや霧を使った演出撮影(自然光排除でライティング演出がしやすく)
まさに今、「小型機材で大きな表現が可能になる時代」が始まっています。
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