RAWとJPEGの違いとは?カメラメーカー別RAW形式の特徴とRAWデータは保管しとくべきか?

写真

はじめに

  • 「RAWとJPEGって具体的にどう違うの?」
  • 「RAWってメーカーごとに違うって本当?」
  • 「今後の写真ファイルってどう進化するの?」

そんな疑問を持つカメラ初心者〜中級者の方に向けて、RAWとJPEGの違い主要メーカーのRAW形式の特徴、そしてこれからの写真ファイルの進化について、写真好きなら知っておきたいポイントをわかりやすく、かつ深掘りして解説します。

📸 JPEGとRAWの違いとは? 〜基本と画質の根本的な違い〜

項目JPEGRAW
階調(ビット数)8ビット(256階調)12〜14ビット(4096〜16384階調)
ファイルサイズ軽量。撮ってすぐSNSやスマホに最適重い。1枚で10〜50MB以上になることも
編集耐性低い(露出・ホワイトバランス補正に弱い)高い(大幅な補正でも破綻しにくい)
互換性高い(ほとんどの端末で開ける)低め(専用ソフトやアップデートが必要なことも)
画質の保持圧縮されるため情報が欠落撮像素子が捉えた情報をほぼそのまま記録

🎨 階調とは?8ビット vs 12〜14ビットの違いを色数まで詳しく解説!

🧠 そもそも「階調」とは?

**階調(gradation)**とは、「明るさの段階」のことです。
画像は、赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3つの色チャンネル(RGB)で構成され、それぞれのチャンネルにどれだけ細かい明るさの段階を記録できるかが、ビット数で決まります。

💡 ビット数による明るさの段階(=階調)

ビット数1チャンネルあたりの階調RGB全体の色数(R×G×B)
8ビット256階調(0〜255)1677万色(256 × 256 × 256)
12ビット4096階調(0〜4095)687億色(4096 × 4096 × 4096)
14ビット16384階調(0〜16383)3兆7225億色(16384³)

🔍 ビット数が2増えるごとに、階調数(=情報量)は約4倍になります!

🎯 なぜ階調が多いと画質が良いの?

階調が多いほど、微妙な色の差や明暗のグラデーションをなめらかに表現できるからです。

例えば…

  • 空のグラデーション(青からオレンジへ)で、8ビットだと段差が見える(バンディング)ことも
  • 暗部やハイライトの細かいディテールを残すには、12〜14ビットが有利
  • RAW現像での補正耐性も、階調が多いほど破綻しにくい

📷 **JPEG(8ビット)**は「出力用」=完成品
📷 **RAW(12〜14ビット)**は「素材」=あとで調理(編集)できる状態

🏭 各カメラメーカーのRAW形式とその仕様・特徴まとめ

メーカー拡張子圧縮方式の選択肢ビット数色数(理論値)主な特徴・補足解説
Canon.CR2 / .CR3非圧縮 / 可逆圧縮14ビット約 3.7兆色(16,384³)CR3は新世代。軽量&可逆圧縮対応。Dual Pixel RAW対応でピント調整なども可能。
Nikon.NEF非圧縮 / 可逆圧縮12 or 14ビット約 687億〜3.7兆色高い安定性と互換性。編集しやすく、現像ソフトも豊富。
Sony.ARW非圧縮 / 非可逆圧縮12 or 14ビット約 687億〜3.7兆色高画素モデルが多く、情報量が大きい。非可逆圧縮がデフォルトのため設定要確認。
Fujifilm.RAF可逆圧縮14ビット約 3.7兆色X-Trans CMOSセンサー向け。X RAW Studio推奨で、色再現性に定評。
Panasonic.RW2非可逆圧縮(主流)12 or 14ビット約 687億〜3.7兆色LUMIXシリーズ用。動画連携のメタデータも含まれる。
Olympus / OM.ORF可逆圧縮12ビット(多く)約 687億色(4,096³)軽量なファイルで初心者にも扱いやすい。ライブNDなど独自情報も保存可能。
Leica.DNG / 独自可逆圧縮14ビット約 3.7兆色DNG形式で高い互換性。モデルによっては独自RAWあり。
Pentax (リコー).PEF / .DNG非圧縮 / 可逆圧縮12 or 14ビット約 687億〜3.7兆色一部モデルでDNG選択可。長期保存や将来の互換性にも強い。
Apple (iPhone).DNG(ProRAW)可逆圧縮(+JPEG融合)12ビット約 687億色JPEGとRAWのハイブリッド。iPhoneでも高度な編集が可能。

🔄 RAWの圧縮方式にも違いがある

圧縮方式内容採用例
非圧縮完全な生データ。ファイルは重いが画質は最高Nikon、Sony(選択可)
可逆圧縮(Lossless)データを保持したまま圧縮。画質は非圧縮と同等Canon CR3、Nikon NEFなど
非可逆圧縮(Lossy)データの一部を削除して軽量化。画質劣化の可能性ありSony、Panasonicなど

✨「画質」と「容量」のトレードオフを理解して、撮影シーンごとに使い分けが大事!

📂 DNG形式とは?RAWの共通規格になり得る存在

**DNG(Digital Negative)**はAdobeが開発したオープンなRAWフォーマット。

🔸メリット:

  • 各社独自RAWを一元化 → 将来的な互換性の心配が減る
  • Lightroomなど多くのソフトでサポート
  • 編集履歴などのメタデータも埋め込める

🔹対応メーカー・機器:

Leica / Pentax / DJI / Apple(ProRAW)など。
また、CanonやNikonのRAWもAdobe DNG ConverterでDNGに変換可能。

📂 HEIF(High Efficiency Image File Format)とは?

HEIF(ヒーフ)は、「高効率画像ファイル形式」と訳される次世代の画像フォーマットです。
主にJPEGの後継として期待されており、AppleのiPhoneやmacOSで使われるHEIC(.heic)ファイル
も、このHEIFをベースにしています。


🔍 基本情報

項目内容
拡張子.heif, .heic(Apple)
圧縮方式HEVC(H.265)
登場時期2015年頃(MPEGが規格化)
主な採用例iPhone(iOS 11以降)、macOS、一部Android、Windows 10以降(要コーデック)

📊 JPEGとの比較

比較項目JPEG(.jpg)HEIF(.heic)
圧縮効率普通2倍の圧縮率で同等またはより高画質
カラービット数最大8ビット最大16ビットまで対応
アニメーション不可可能(Live Photoや連写)
透過処理不可可能(アルファチャンネル対応)
メタデータ限定的豊富(深度情報・HDR・顔情報など)
対応環境ほぼ全端末対応やや限定的(古い環境では非対応)

🧠 特徴・メリット

  • 高画質&高圧縮率:JPEGの半分程度のサイズでも同等以上の画質を実現
  • アニメーションや複数画像対応:動画のような連写やLive Photoにも対応
  • 深度情報やHDRにも対応:スマホのポートレートモードや広色域に強い
  • 高階調表現:16ビットカラー対応で、RAWに近い画像処理も可能

⚠️ デメリット・注意点

  • 古い環境では再生できない(例:Windows 7、古いAndroidなど)
  • 一部画像編集ソフトで未対応
  • SNSやWebサービスがJPEGを優先対応(アップロード時に変換される場合も)

📱 よくある疑問:HEICとHEIFの違いは?

  • HEIF は形式の名前(ファイル構造)
  • HEIC はその中で HEVC(H.265)圧縮を使った画像ファイルの拡張子

つまり:

📷 HEIF = 形式(箱)
📦 HEIC = HEVCで圧縮された中身の画像

🔮 HEIFの将来性

  • AppleがiPhoneで採用したことで普及が進行中
  • 今後、JPEG XLやAVIFとともに次世代画像フォーマットの主流候補
  • スマホ・クラウド・SNS時代に合った「軽くて多機能」な画像形式

✅ まとめ:HEIFとは

  • JPEGより 高画質・高圧縮・高機能
  • iPhoneでは標準で使用中(Live Photoやポートレートに最適)
  • 互換性はやや課題だが、将来性は高い

📷 なぜHEIFではなくRAWが写真の「主流」なのか?

1. 🛠 RAWは「生データ」だから

  • RAWは、センサーが記録した情報をほぼそのまま保存した未加工のデータ。
  • 一方、HEIFは既に処理・圧縮された“完成品”

📌 つまり:

  • RAW = 写真の「素材」
  • HEIF = 加工済み「製品」

➡ RAWはホワイトバランス・露出・色調などを後から自由に調整できるが、HEIFは調整の自由度が限られる。

2. 🎨 編集耐性が段違い

項目RAWHEIF(HEIC)
階調12〜14ビット(最大16ビット)最大16ビット(通常10ビット前後)
色補正の自由度非常に高いJPEGより高いがRAWには劣る
シャドウ補正○ 破綻しにくい△ ノイズや破綻が出やすい

📌 たとえば、逆光や夜景など「撮ったままでは使えない」写真も、RAWなら救える可能性が高い

3. 🧪 圧縮アルゴリズムの違い

  • HEIFはHEVC(H.265)で画像を圧縮するが、これは一部の情報を間引く非可逆圧縮
  • RAWは非圧縮または可逆圧縮が基本で、撮影時のすべての情報を保持できる。

➡ 情報を「捨てない」RAWの方が、プロの後編集に圧倒的に有利。

4. 🖥 ワークフローと目的の違い

ユーザー層優先される形式
一般ユーザー(iPhoneなど)HEIF / JPEG
プロ / 写真愛好家RAW
  • HEIFはSNSやスマホ共有に向いた効率重視の完成データ
  • RAWは作品づくり・仕事用途・印刷用など、細部まで詰める編集作業に最適

5. 🧩 HEIFは現時点では“中途半端”な立ち位置

  • JPEGよりは高機能・高画質
  • でもRAWほどの編集自由度や正確な色情報はない

📌 HEIFは高品質な「完成写真」には◎
📌 RAWは**「後からベストな写真に仕上げる」ための唯一の素材**

✅ 結論:HEIFとRAWは用途が違う

用途最適な形式
SNS投稿、スマホでシェアHEIF / JPEG
明暗差の大きい風景写真RAW
後から色味を追い込みたい作品づくりRAW
容量を抑えて高画質を残したい場合HEIF

RAWが主流なのは、「あとで好きなように調整したい」人たちにとって、最も情報が残っていて自由度が高いからです。

RAWデータはなるべく「保存しておく」ことを強くおすすめします。

理由は以下のとおりです。

✅ RAWデータを保存しておくべき理由

✅ 1. 現像ソフトの進化による再現力アップ

現像ソフトは、年々アルゴリズムが進化しています:

時期機能・技術の進化例
2015年頃基本的な色調補正、トーンカーブなどが中心
2020年頃AIノイズ除去、顔認識、レンズ補正の自動化
2023年〜現在被写体検出、空・肌・目の自動選択、AI補正、HDR現像の高精度化

📌 たとえば:

  • 昔はザラザラだった高ISOの写真も、最新の**AIノイズ除去機能(例:DxO PureRAW, Adobe Denoise)**で、見違えるほど滑らかに。
  • 暗部に埋もれていたディテールも、新しいトーンマッピング技術で、より自然に引き出せる。

✅ 2. カメラごとのRAW解析の精度も向上

  • 初期のRAW対応ソフトは「対応していても色味が不自然」というケースが多々ありました。
  • しかし最近は、カメラボディやレンズごとにプロファイルが最適化されているため、忠実な色再現やレンズ補正が可能に。

📌 例:初期のFujifilm RAWは色の扱いが難しかったが、今はX-Trans専用の現像ソフト(X RAW Studioなど)が進化し、メーカー公式に近い色を再現できる

✅ 3. AI補正・スマートマスクなど編集支援が強化されている

  • 過去には難しかった複雑な編集も、今ではAIが自動で被写体を選択してくれます。
  • 例:人物・空・背景をワンクリックで分離して補正 → 以前の手作業では不可能だった繊細な編集が可能

✅ 4. 将来の表示機器・出力形式に対応できる

  • 現在のスマホやモニターでは分かりづらい階調や色も、
    • 8Kディスプレイ
    • HDR印刷
    • 高色域モニター(Adobe RGBやDCI-P3)
    などの登場により、「昔のRAWデータを再現像すれば、より美しく再現可能」になります。

📷 実例:同じRAWを数年後に再現像してみたら…

比較昔の現像(2015年)現在の現像(2025年)
ノイズ除去高ISOでザラつくAI除去でディテールを保ったままなめらか
色再現白飛びしやすい階調豊かで繊細な色が出る
レンズ補正歪みや周辺減光が残る自動で補正、自然な仕上がりに
選択補正手動マスク必須被写体ごとに自動マスク可能

✅ 結論:今すぐ使わなくても、RAWを残しておけば「未来で蘇る」

RAWは「撮った瞬間の光を封じ込めた素材」。
未来のテクノロジーが、その光をより美しく引き出してくれる可能性があります。

📦「今よりも未来のほうが、この写真はきっと良くなる」
だからこそ、RAWは財産として保存しておく価値があるのです。

🧳 でもRAWは容量が大きい…どうする?

方法メリット
外付けHDD・SSDで保存大容量に対応。バックアップに最適。
NAS(Synologyなど)家族・複数端末での共有にも便利
クラウドストレージ(Google One、iCloudなど)自動バックアップと安心感
JPEG + RAW同時記録で整理JPEGを普段使い、RAWは残すだけ

🔁 撮影後すぐに「使う写真」と「保存だけする写真」に分けると管理がラクです。

✅ 結論:RAWは「写真の保険」!残しておく価値あり

  • 今すぐは使わなくても、将来の編集・再現・作品制作に役立つ
  • 保存容量が許すなら、削除せずに保管がベスト

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