スマホやデジカメで写真を撮るのは当たり前になった今でも、写真店のプリントには「銀塩プリント」という特別な方法があります。
銀塩プリントは、レーザーで写真用紙に露光して薬品で現像する、昔ながらの写真方式。肌の色合いや微妙な明暗の再現がとても自然で、長く残す思い出写真にはぴったりです。
国内で代表的なメーカーは 富士フイルム(FUJIFILM) と ノーリツ鋼機(NORITSU)。
今回は両社の代表機種を比較しながら、それぞれの特徴を紹介します。
富士フイルムの銀塩プリンター:Frontierシリーズ
富士フイルムの Frontier(フロンティア) は、DPEショップや写真館で長年活躍してきた名機シリーズです。
主な機種と特徴

- Frontier 570(LP5700R) / 550(LP5500R)
- 発売年:2004年(570E/LP5700R)、2005年(550E/LP5500R)
- 方式:銀塩・レーザー露光
- 解像度:300dpi × 600dpi
- 最大サイズ:305×457mm(A3相当)、オプションで長尺(914mmまで)対応
- 処理能力:LP5700R 約2,210枚/時(L判)、LP5500R 約1,350枚/時
- 特徴:高速処理と安定した色再現、富士らしい自然な肌色
- Frontier DL650(ドライミニラボ、2012年発売)
- 方式:インクジェット方式(ドライラボ)
- 解像度:標準 720dpi、最高 1440dpi
- 処理能力:L判 約1,120枚/時(標準)、約190枚/時(高画質)
- 特徴:用紙バリエーションが豊富、ポスターやマット紙など特殊プリントに強い
ノーリツの銀塩プリンター:QSSシリーズ
ノーリツは現在も銀塩機を継続開発している数少ないメーカーで、特に QSS-3704HD 以降のシリーズは「最高画質」として業界評価が高いです。
📸 ノーリツ QSSシリーズ 主な機種と特徴

QSS-3101(2002年頃発売)
- 露光方式:レーザー露光(初期HD系の前世代)
- 解像度:300dpi相当
- 最大プリント幅:254mm(10インチ)
- 処理能力:約900枚/時(L判)
- 特徴:小・中規模店舗向けの標準モデル。安定した画質と信頼性でロングセラー。
QSS-3202 / QSS-3203(2004年頃発売)
- 露光方式:レーザー露光方式
- 解像度:300dpi相当(12bit処理)
- 最大プリント幅:305mm(12インチ)
- 処理能力:約1,200枚/時(L判)
- 特徴:3101からの改良版。プリントスピード・耐久性向上。フロント出し構造で省スペース化。
QSS-3704(2008年頃発売)
- 露光方式:レーザー露光方式(新世代LDユニット)
- 解像度:640dpi × 640dpi(12bit処理)
- 最大プリント幅:305mm
- 処理能力:約1,200枚/時(L判)
- 特徴:高精細モデルとして登場。銀塩らしい滑らかな階調とクリアな発色。
→ 後継機「QSS-3704HD」へ進化。
QSS-3704HD(2010年頃発売)
- 高精細レーザー露光方式(640dpi × 640dpi、12bit処理)
- 最大サイズ:305mm幅まで
- 処理能力:約900枚/時(L判)
- 特徴:銀塩ならではの高画質、なめらかな階調
QSS-3801HD(2012年頃発売)
- QSS-3704HDの後継機
- 解像度:640dpi
- 出力サイズ:L判~305mm幅(A3ワイド 914mm対応)
- 処理能力:約1,480枚/時(L判)
- 特徴:業務用に適した安定性と高速処理
QSS-3901G / QSS-3904G(2018年発売)
- 最新鋭の業務用銀塩プリンター
- 解像度:640dpi
- 出力サイズ:L判~305mm幅(A3ワイド対応)
- 処理能力:3901G 約1,650枚/時、3904G 約2,250枚/時(L判)
- 特徴:大量出力向け、三連/四連マガジンで効率的に運用可能
🖼️ 富士フイルムとノーリツ鋼機のミニラボ機 比較年表
機種名 | 発売年 | プリント方式 | 最大解像度 | 対応サイズ | 処理速度(L判/時) | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
Frontier 350 / 370 | 2001年頃 | 銀塩・レーザー露光 | 300×600dpi | L判~A3相当 | 約1,500枚 | デジカメ対応初期モデル、安定した発色 |
QSS-3101 | 2002年頃 | 銀塩・レーザー露光 | 300dpi相当 | L判~254mm幅 | 約900枚 | 普及モデル、信頼性の高い設計 |
Frontier 570E (LP5700R) | 2004年 | 銀塩・レーザー露光 | 300×600dpi | L判~A3相当 | 約2,210枚 | 高速処理・安定画質 |
QSS-3202 / 3203 | 2004年頃 | 銀塩・レーザー露光 | 300dpi相当 | L判~305mm幅 | 約1,200枚 | 高速・高耐久、省スペース構造 |
Frontier 550E (LP5500R) | 2005年 | 銀塩・レーザー露光 | 300×600dpi | L判~A3相当 | 約1,350枚 | 570Eの下位モデル、コスパ重視 |
QSS-3704HD | 2010年頃 | 銀塩・レーザー露光(高精細) | 640dpi | L判~305mm幅 | 約900枚 | 高画質・滑らかな階調表現 |
Frontier DL650 | 2012年 | インクジェット(ドライ) | 720dpi / 1440dpi | L判~A3相当 | 約1,120枚 / 190枚 | ドライラボ初期、用紙バリエ豊富 |
QSS-3801HD | 2012年頃 | 銀塩・レーザー露光 | 640dpi | L判~305mm幅 | 約1,480枚 | 高速処理・業務用安定性 |
QSS-3901G | 2018年 | 銀塩・レーザー露光 | 640dpi | L判~305mm幅 | 約1,650枚 | 最新鋭・大量出力向けモデル |
QSS-3904G | 2018年 | 銀塩・レーザー露光 | 640dpi | L判~305mm幅 | 約2,250枚 | 四連マガジン対応、高速処理 |
銀塩プリントとインクジェットの違い
1. 印刷の仕組み
- 銀塩プリント
写真専用の印画紙にレーザーで光を当て、薬品で現像・定着する方式。
フィルム写真時代から続く“本物の写真”の作り方。 - インクジェットプリント
紙にインクを吹き付けて発色させる方式。
家庭用プリンターやポスター印刷と同じ原理で、写真専用の高性能機種を使う。
2. 画質・発色の違い
- 銀塩
- 肌色が自然
- グラデーション(空や影の色の移り変わり)がなめらか
- 光沢感が強く、いかにも「写真らしい仕上がり」
- インクジェット
- 発色が鮮やかで、彩度の高い色に強い
- 細かい文字やデザイン入り写真もくっきり
- 用紙の種類によってマット調や和紙調など多彩な表現が可能
3. 保存性
- 銀塩
- 適切に保存すれば数十年〜100年単位でも退色しにくい
- アルバムや額装しても安心
- インクジェット
- 用紙やインクによって寿命が異なる
- 長期保存には紫外線や湿度対策が必要
4. コストと用途
- 銀塩「思い出を長く残したい」
- 長期保存に強く、家族や友達との思い出を残すのに最適
- まとめてプリントするのに向いている(L判大量プリントなど)
- 滑らかな階調、自然な肌色。
- インクジェット「色鮮やかに表現したい」「大判や特殊用紙に出したい」
- 1枚からプリントでき、サイズも柔軟
- ポスターやアート作品、大判プリントに強い
- 高解像度で色鮮やか
富士フイルムとノーリツの関係
ノーリツの近年の銀塩プリンターでは、露光用レーザーユニットを富士フイルムと共同開発しており、両社の技術協力により高画質プリントを実現しています。
ただし、OEM供給の公表例はなく、あくまで業界標準の協調関係という形です。
ノーリツと富士フイルムどっちがいいの?
高画質・高速出力 → ノーリツ QSS-3801HD以降(特にQSS-3904G)は業界最高クラスの画質と処理速度。
色調や安定性を重視 → 富士フイルム Frontierシリーズ。富士らしい色味や写真らしい質感を求める人におすすめ。
この記事は井上写真店 INOUE PHOTO(明石市)が運営しています
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